オゾンの人体への影響や毒性について
オゾンそのものは酸素原子が結合して構成されているため、残留毒性はありません。
オゾンガスは私達の暮らしに役立っている大切なものですが、何事も沢山あればいい訳では無いのはオゾンも同様であり、沢山の高濃度オゾンを曝露してしまうと最悪の場合、命を落としてしまう程に私達には悪影響を及ぼします。
オゾン含有空気を吸引してしまうことで、喉、鼻腔、器官、肺などへオゾンが接触することで様々な症状が現れ、更に一定値以上のオゾンを曝露してしまうと肺水腫によって命を落としてしまう場合があります。
ちなみに、紫外線は発がん性がありましたが、今現在ではオゾンによる発がん性は確認されていません。
高濃度のオゾンを曝露した場合、人体に及ぼす影響はどれくらいなのか見ていきましょう。
オゾンガス濃度による人体への影響
オゾン濃度(ppm) | 人体への影響 | 備考 |
0.01~0.03 | 殆ど臭わない | 自然界に常にある濃度 |
0.04~0.05(※1) | オゾンの特有な臭いがある | 室内環境基準 |
~0.06(※2) | 0.06未満では慢性肺疾患患者にも影響がない | 公害対策基本法環境基準値 |
0.1(※3) | 人体への影響(咳・涙・鼻が痛いなど) | 作業環境基準濃度値 |
0.2 | 3時間曝露で視力の減退が出始める | |
0.6~0.8 | 頭痛、せき、呼吸困難など | |
1~2 | 2時間曝露で頭痛、胸部痛など | |
5~10 | 脈拍増加・呼吸困難・肺水腫を招く |
※濃度に対しての人体への影響は個体差があるためこの限りではありません。
(※1)0.05ppm(24H)アメリカ合衆国食料医薬品薬局(FDA)が定めた基準値
(※2)~0.06ppm公害対策基本法で定められているオキシダント環境基準値
(※3)0.1ppm日本産業衛生協議会が勧告する作業環境基準濃度値
適切なオゾン濃度を知らずに高濃度のオゾンを曝露してしまうことは人体に対しても大きな負担になっていることが分かります。
健康に良いとされている水についても、1時間に1リットルまでとされており、6リットル程度を大量に摂取してしまえば水中毒になってしまい死亡してしまうケースがあります。
カフェインや塩、お酒に関しても、適切な量を超える摂取は全て死に繋がります。
コロナ感染拡大防止策として使用されるようになった、アルコールや次亜塩素酸についても同様で濃度が高い状態で吸引してしまったり接触した場合には人体や物質に影響を与えます。
オゾンによるゴムの劣化
人体への影響がとても大きいことが分かりましたが、人体以外でもオゾンを使用することで影響を受けるものが多くあります。
ゴムや樹脂製品もそのうち1つであり、オゾンを受けることで劣化してしまいます。
日頃の生活で劣化が見られるのは車のタイヤが例に挙げられます。
日光に照らし続けられたタイヤの側面部分がひび割れているのを見たことがあるでしょうか?
あれは太陽の紫外線やオゾンを長時間浴びることでできた場合があります。
特に天然ゴム製品は大きく影響を与えてしまうことがあるため、大きく影響を受けた際には、ゴムの劣化や変色が見られる場合があります。
そうなってくると、オゾン発生器を導入しようと検討した場合に様々な業種で製品が劣化してしまうのではないかと懸念される場合が考えられます。
勿論、高濃度のオゾンを曝露してしまった場合には極大にゴムが劣化してしまうかもしれません。
しかし、ゴムを製造している会社でもオゾンに負けない耐オゾンゴム製品や、オゾン亀裂防止剤などを日々開発しているため、オゾンに左右されない環境が作られています。
特に耐オゾン性が強いゴム・・・フッ素ゴム(FKM)、エチレンプロピレンゴム(CSM)、など
耐オゾン性が強いゴム・・・プチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、など
オゾンに弱いゴム・・・天然ゴム(NR)、ニトリルゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ウレタンゴムなど
オゾン発生器を使う場合には、オゾン濃度が高い場合ゴム製品を劣化させる恐れがあるため注意が必要です。
オゾンによる樹脂の劣化
オゾン濃度によっては著しく大きな負担がかかり、樹脂製品の劣化を早めてしまう、または破壊してしまう場合があるため注意が必要です。
特に、ナイロン66(PA66)は食品フィルムやラジエータータンクや冷却ファンなど、自動車部品に使われているものに関してはオゾンの影響を強く受けてしまうため使用には適さないとされています。
その他合成樹脂では、塩化ビニール(PVC)に関してはある程度条件により十分オゾンの使用に耐えるとされていますが、ポリプロピレンPPや、ABS、ポリエチレンPEなどの素材は若干のオゾンによる影響が出るとされているため、オゾの使用の際には十分注意しなければなりません。
聴診器や血圧計などの医療器具ではチューブに使用する材料で、 PVC、ラテックス、ゴムなど一部のチューブでは、
患者や施術者のアレルギーを避けるために、ラテックスや天然樹脂が含まれていないことが多いため、PVC等であれば比較的耐オゾン性があるとは思いますが、万が一強いオゾン濃度での除菌を行う場合には少しでも劣化の懸念がある場合には退避することをお勧めしています。
オゾンによる金属の劣化
金属に関しても、オゾンによって劣化、腐食、酸化が発生する可能性がありますが、
アルミやステンレス(特にSUS304、SUS316)は一般的にオゾン耐性があるとされています。
工場などで使用される部材はステンレスやクロームメッキなどを多用しているため、比較すると耐オゾン性が高い部材になっています。
医療現場などで使用されているメスなど大切な医療器具の劣化の懸念もされるかと思いますが、使用される部材ではSUS316やSUS316Lと耐オゾン性が高いものを使用されていることが多いため低濃度のオゾンを運用する場合には著しい劣化は見られないとされています。
100,000ppmと高い濃度で1年間SUS304をオゾンに接触しても腐食は起きないとされています。
オゾン水の場合は、10ppm以下でも腐食が発生し穴があくことがあるとされているため、オゾン水を使用する場合には、SUS316またはSUS316Lを使用する必要があるとしています。
上記の検証から、一般家庭などで使用する環境下のオゾン濃度は、除菌効果を目的とされる0.05pppm(室内環境基準)であればオゾン濃度が低いため更に物質がオゾンによって影響される被害は少ないと考えています。
参考:オゾン発生・分解装置.comさんHP 物質に対するオゾンの影響より
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