オゾン発生器を安全に使うには
オゾンを私達が導入する場合には、オゾン発生器や、オゾン水生成器などといった様々な機器が市場に出ています。
オゾン濃度が高い場合には、健康被害を及ぼしてしまう可能性があるため、適切な知識を身に付け、オゾン発生器や、オゾン水生成器を購入し、使用する場合の選定ガイドを当サイト独自にて作成しました。
選定ガイドはあくまで日本産業衛生協議会が勧告する作業環境基準濃度や、計算上や理論上のオゾンガス濃度計算式を用いて作成したものであるため、個人差によってはそれよりも少ないオゾン濃度でも日常的な生活に支障をきたす場合があります。
その際には、機器の使用をすぐに中断し、医師の適切な診断を受けていただきますようお願い致します。
目安の地点 | オゾン濃度 |
成層圏(上空およそ25km) | 10~25ppm |
市街地 | 0.01~0.03ppm |
海岸 | 0.03~0.06ppm |
森林・山 | 0.05~0.08ppm |
1Ppm=0.0001%=1000ppb= 1000000ppt
オゾン濃度(ppm) | 人体への影響 | 備考 |
0.01~0.03 | 殆ど臭わない | 自然界に常にある濃度 |
0.04~0.05(※1) | オゾンの特有な臭いがある | 室内環境基準 |
~0.06(※2) | 0.06未満では慢性肺疾患患者にも影響がない | 公害対策基本法環境基準値 |
0.1(※3) | 人体への影響(咳・涙・鼻が痛いなど) | 作業環境基準濃度値 |
0.2 | 3時間曝露で視力の減退が出始める | |
0.6~0.8 | 頭痛、せき、呼吸困難など | |
1~2 | 2時間曝露で頭痛、胸部痛など | |
5~10 | 脈拍増加・呼吸困難・肺水腫を招く |
※濃度に対しての人体への影響は個体差があるためこの限りではありません。
(※1)0.05ppm(24H)アメリカ合衆国食料医薬品薬局(FDA)が定めた基準値
(※2)~0.06ppm公害対策基本法で定められているオキシダント環境基準値
(※3)0.1ppm日本産業衛生協議会が勧告する作業環境基準濃度値
当サイトでは、日本産業衛生学会が勧告している作業環境の許容濃度0.1ppm以下であれば、基本的には人体への影響は無いと判断させていただいております。
もちろん、個人差によって影響が出る度合いは異なりますので、より安全にご使用いただくために0.06ppm以下やそれ以下になるように設定していただいても構いません。
許容濃度とは、労働者が 1 日 8 時間、週間 40 時間程度、肉体的に激しくない労働強度で有害物質に曝露される場合に、当該有害物質の平均曝露濃度がこの数値以下であれば、ほとんどすべての労働者に健康上の悪い影響が見られないと判断される濃度である。
曝露時間が短い、あるいは労働強度が弱い場合でも、許容濃度を越える曝露は避けるべきである。
なお、曝露濃度とは、呼吸保護具を装着していない状態で、労働者が作業中に吸入するであろう空気中の当該物質の濃度である。労働時間が、作業内容,作業場所、あるいは曝露の程度に従って、いくつかの部分に分割され、
それぞれの部分における平均曝露濃度あるいはその推定値がわかっている場合には、
それらに時間の重みをかけた平均値をもって、全体の平均曝露濃度あるいはその推定値とすることができる。
引用:関西オゾン技術研究会さん オゾンのヒトに対する健康影響基準より
安くて高濃度オゾン発生器が一番いい?
基本的にはオゾン発生量が多くなるにつれて価格帯は比例して高くなっていきます。
最近お問い合わせでご相談いただく1つとして、
「高性能でオゾン発生器の安いものでも問題ないのか?」、
「どうして私のところで販売しているオゾン発生器は高いのか?」
といった内容が多く寄せられます。
この件に関しては、実際に他社製品と当社が販売している製品を比較するつもりはないのですが、
安全にオゾン発生器をご使用いただく上で助言をさせていただく事を前提にご説明させていただきたいと思います。
端的に申し上げさせていただくと、
「自分が良ければ安いものでも可、但し大切な人を守れることが前提」
に尽きると思います。
市場を見る限りでは15000mg/hなどの物凄く高い濃度のオゾン発生器が1万円を切る値段で販売されているのを見かけます。
オゾン発生器自体は誰でも作ることが出来る単純な機械のため、
作るだけであればコストはそこまでかかることはありません。
しかし、オゾンは別の記事でも紹介していますが、オゾンはとても物質としては不安定なため、常時安定したオゾン濃度を維持して発生させることが出来ているのか?も重要になってきます。
例えば、5000mgのオゾン濃度が出るオゾン発生器があるとして、実際に測定値で測定すると振れ幅が多く、基本的には30mg程度しか発生しておらず、何分かに1度5000mg出た。
なんて事であれば5000mgは実際に出ているかと言われれば微妙なラインになってきますし、そもそも安定してオゾンが放出出来ていないことは間違いありません。
更に一定量のオゾンを発生させたあとなどに、オゾンを回収する機能が付いているのか?や、万が一無人環境下で使用するオゾン発生器を使用して、高濃度なオゾンを放出している際に、人が入ってきた場合に感知して、自動でオゾンの放出を停止させたり、濃度を弱くさせる機能がついているか?などといった安全面での差も金額に差が出てくるかと思います。
日本は特に品質基準が高く設定されているため、海外の部品を使用していることはあるかもしれませんが、国内での製造・検査をしている製品の方がやはり国内での使用に対して想定して作られている分、安全だと言えるのではないでしょうか。
一番初めに申し上げたとおり、誰もが安くて高性能な商品を求めています。それはふつうのコトだと思います。
しかし、オゾンの取り扱いを1つでも間違えると死に至ってしまう程の危険なオゾン発生器を知識なしに安さを優先にするかはあなた次第だと思います。
実際に当社の製品をお買い上げいただいた際に、今まで使用されていた安くて高性能ということで買われたオゾン発生器を拝見させていただいたことがありますが、装置を作動させた瞬間にものすごいキツいオゾンのニオイが出たため、すぐに停止させた事がありました。
個人的な考えではありますが、私は医療施設や介護施設、児童施設をはじめとする命を預かる施設に対して、安全な上で除菌・脱臭効果のあるオゾン発生器を活用していただき、施設がより安全に利用できる環境を作っていただきたい思いで紹介させていただいております。もちろん上記施設以外でも同じ気持ちです。
それを安価で高性能かもしれませんが、粗悪のオゾン発生器を紹介して万が一、命を助けるための医療機器や、精密機器などの損耗が激しく劣化させてしまう事や、
子供やお年寄りに対して高濃度のオゾンを吸入させてしまう事は、絶対にあってはなりません。
家庭内であれば、妊娠している方や、赤ちゃん、こども、祖母や祖父など大切な人がいるかと思います。
大切な人を危険な目に合わせることは出来ませんので、やはり値段が高い事がネックになっている位であればオゾン発生器を購入するのは止め、それ以外の脱臭・除菌方法を考えていただいても良いと思います。
過去に「家庭用のオゾン発生器を買わないほうが良い」と、国民生活センターの報告書が出されましたが、これは製品によっては、室内環境基準や労働環境における許容濃度である0.1ppmを超えるものがある。というものでした。
当然、オゾン濃度に対して適切な広さの環境で使わずに狭い空間で使用する場合には、オゾン濃度が高くなるのは当然です。
また、絶対に真似をしてはいけませんが、オゾンが出る吹出口近くに顔を近づければ当然0.1ppmを超えるオゾンを曝露してしまうことになるため人体に影響を及ぼす可能性は上がります。
現状の大手ショッピングサイトのオゾン発生器の口コミやレビューの一部を見る限りでは、適切な知識を持ち合わせずに購入されている方が多くいるように見受けられました。
「6畳や8畳程度の室内で200mg/h発生するオゾン発生器を使用して脱臭や除菌の効果が大変良かった。是非おすすめです」
などと言った様な文面が見られましたが、200mg/h発生させるオゾン発生器を27㎥程度の室内で使用した場合、換気や自己分解の影響を加味しても1.15~1.73ppmとかなり高いオゾン濃度になっているため、健康に影響を及ぼす可能性が大変高いです。
オゾン発生器を購入される前には必ず使用する環境に応じてオゾン濃度を調整していただく必要があります。
業務用と家庭用のオゾン発生器の違いについて
大きな違いは2つに分けることが出来ます。
まず1つは、使用環境(無人下・有人下)の違いです。
業務用のオゾン発生器を使う場合には、誰もいない無人環境での使用が前提となっています。
一般家庭でオゾン発生器を使う場合には、犬や猫などのペットを含む人間がいる環境(有人環境)での使用が前提とされています。
理由としては、業務用に使用されるオゾン発生器の多くは、より広い環境やより強い脱臭・除菌効果を目的として使用されることが多いため、業務用のオゾン発生器は発生するオゾン濃度が非常に高く作られています。
そのため、一般家庭程度のエリアで業務用のオゾン発生器を24時間常用で使用した場合には、死に至るレベルのオゾン濃度が室内に拡がることになるため、取り扱いには十分注意しなければなりません。
2つ目は、オゾン濃度(オゾン発生量)の違いです。
1つ目でも説明したとおり、業務用のオゾン発生器は一般家庭向けと違いかなり高いオゾン濃度(オゾン発生量)になるように設計されています。
オゾン発生器を購入する場合には、
・使用環境(一般家庭向け・業務用)
・オゾン発生量
の説明に注意するようにしましょう。
一般家庭向けオゾン発生器と業務用オゾン発生器のオゾン発生量の違いについて
用途 | オゾン発生量 | 使用環境 |
一般家庭向け | 50mg/h | 有人環境 |
業務用 | 2800mg/h | 無人環境 |
※10畳=40㎥として計算しています。計算式については後ほどご説明いたします。
機種名 | オゾン発生量 | オゾン濃度(目安) |
エアフィーノ | 10mg/h | 0.0389ppm |
剛腕2800 | 2800mg/h | 10.90ppm |
比較対象が大袈裟なこともありますが、単純に見ていただくとオゾン濃度の目安値が大きく離れていることに気付いていただけるかと思います。
一般家庭向けのエアフィーノは0.0389ppmと0.06~0.1ppm以下の値に収まっていますが、一方で業務用の剛腕2800に関しては、
10.90ppmと高いオゾン濃度が発生するため、曝露し続けると呼吸困難や肺水腫を招き死亡する恐れがある値になっています。
オゾンガス濃度計算式について
安全なオゾン濃度で使うためには、どの程度のオゾン濃度が自身で利用する際に必要になってくるのか考える必要があります。
もちろん、全ての方がオゾン濃度測定器を使用することでより正確なオゾン濃度の値を見つけることが出来ますが、高性能なオゾン濃度測定器はオゾン発生器と同じ位の金額になるためなかなか手が出しづらい部分があります。
そこで、日本産業衛生学会さんの「許容濃度等の勧告」のオゾン濃度の値をベースに考え、
当サイトでは、以上の理由から健康被害が出ていないことからも0.1ppm以下の数値であれば「安全基準」としてご説明をさせていただきたいと思います。
常用で有人環境でオゾン発生器を使用する場合には0.06~0.1ppm以下を適正なオゾン濃度値としてご案内させていただきますが、当然個人差によって安全な基準値以下でも健康に影響を及ぼす場合があるかもしれないため、その際には直ちに機器の使用を中断し、医師の適切な診断のもと指導を受けていただきますようお願い致します。
下記のオゾンガスの濃度計算式を用いることで、1時間後の空気濃度の計算値を求めることが出来ます。(理論値)
オゾン発生量(mg/h)÷容積(㎥)÷2.14 =オゾン濃度(ppm)
オゾン発生量に関しては、製品の概要などを見ていただくと20mg/hなどと表示されているかと思います。
容積とは、実際に使用する場所の容積を求める必要があります。高さが2.7mと仮定した場合、10畳でおよそ40㎥です。
これを基に上記の計算式に当てはめて計算をすると、
20÷40÷2.14=0.2336…ppmになります、ここで危険な数値になっていると思った方はだいぶオゾンについて勉強されているかと思われます。
上記の数値から、オゾンは「室内の換気」、「反応物」、「自己分解」などの理由から、実際の理論値は
常温の場合、1/2から1/3の数値となります。 ※冷温の場合は~1/5
また、オゾンを発生させ続けても、オゾン濃度は平衡状態となり、ある一定値以上にはなりません。
したがって、0.234÷(2または3)=0.117~0.078ppmが理論値での濃度となります。
濃度は0.117~0.078と0.06~0.1ppmよりも高い数値が出てしまっています。
ということは、その広さに対して発生させるオゾンの量が多いため、より広いスペースで使用することを考えていただくか、オゾン発生量を切り替えることが出来る場合は、数値以下になるまで下げていただく必要があります。
オゾンガスの殺菌効果(CT値)
国際的な殺菌、不活効果を示す指標として、CT値が認められています。
CT値とは、オゾンガス濃度(ppm)✕時間(min)であり、その数値が高いほど、殺菌、不活(死滅)の効果が高くなります。
菌やウィルスによって、不活性化するCT値はそれぞれ異なりますが、殆どの菌やウィルスは、CT値80ppm/minで、99,9%以上不活化するとされているため、CT値が80以上になるように、オゾン発生器を選ぶ際には注意しなければなりません。
ウィルス・菌 | 99.9%以上不活性化のCT値 |
新型インフルエンザ(H5N1型)(厚生労働省、消防庁) | 60 |
H1N1型(北里大学ウィルス科) | 18 |
大腸菌(昭和薬科大学微生物研究室) | 60 |
ノロウィルス(ビジョンバイオ株式会社) | 72 |
セレウス菌、腸炎ビブリオ菌(日本食品分析センター) | 24 |
新型コロナウィルス(奈良県立医科大学) | 330※1 |
※1 新型コロナウィルスは、CT値60では、90%から99.9%不活化します。
オゾンガス濃度(ppm)✕時間(min)の計算式と、前述で記載したオゾンガスの濃度計算式を用いることで製品がどの程度の時間で値に達するかを理論値として求めることが出来ます。
オゾン発生量(mg/h)÷容積(㎥)÷2.14 =オゾン濃度(ppm)
オゾンガス濃度(ppm)✕時間(min)=CT値
例として、40㎥の広さの環境で20mg/hのオゾン発生器を使用した場合、CT値80以上になるにはどの程度時間がかかるのか計算します。
20÷40÷2.14=0.2336…(約0.234ppm)
常温と仮定して、換気や自己分解などの影響を受けることを踏まえ、1/2~1/3になると仮定します。
0.234ppm÷(2または3)=0.117~0.078ppm
上記のオゾンガス濃度でCT値80以上に到達するのにかかる必要な目安時間は、
80÷(0.078または0.117)=1026分(約17時間)~684分(約11.4時間)程度必要となります。
24時間有人環境で使用する場合には、即効性よりも安定性を求めていただき、安全にオゾンによる脱臭や除菌作用の働きを持続的に受けた方が良いかと思います。
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